亡くなった父が株をやっていたようなんだけど、どの証券会社に口座があるのか分からなくて。
遺言書やエンディングノートに証券会社の口座が記載されていたら良かったのですが、そうでないと、どうしたら良いか困ってしまいますよね。
故人が取引していた証券会社を特定する方法を整理してみますね。
株取引の証券会社を見つける方法
手がかりがある場合
以下のように故人が手がかりを残してくれた場合は、証券会社の特定は簡単ですね。
- 遺言書に保有資産とともに証券会社名、支店名が明記してある
- エンディングノートに証券会社名が記載してある
- 銀行口座の取引明細に証券会社との入出金が記録されている (資金移動や配当金の入金など)
- 生前に証券会社のことが話題になったことを遺族が覚えている
こんな場合には、該当する証券会社に問い合わせましょう。「相続の手続をしたい」と言えば、手続方法や遺族が用意すべき書類等を説明した文書一式 (相続書類セットや相続キットと言われます) を郵送してくれます。
手がかりがない場合
故人が証券会社に関する手がかりを残してくれていない場合、取るべき方法は2つです。
何とかして推理する
故人の習慣や興味を元に、どの証券会社を選んでいたかを推理します。例えば次のような見当をつけます。
- 伝統と安心を重視 ⇒ 老舗の大手証券会社を選んでいたかも
- 特定の銀行と取引 ⇒ その銀行の系列の証券会社を選んでいたかも
- 合理的で無駄が嫌い ⇒ 取引手数料の安いネット証券を選んでいたかも
- スマホに慣れていた ⇒ スマホで使いやすいネット証券を選んでいたかも
こうやって見当をつけた証券会社に、順に問い合わせるのが一つの方法です。
ご参考のために、記事の最後に代表的な証券会社を挙げておきます。
ほふり (証券保管振替機構) に問い合わせる
「ほふり」(証券保管振替機構) とは、株などの有価証券の決済機能を担う日本で唯一の振替機関のことです。
国内で上場している株式の全ての保有者情報が「ほふり」 に集まっているため、故人がどの証券会社の口座を持っていたとしても、最終的には「ほふり」に問い合わせることで解決します。
問い合わせは「登録済加入者情報の開示請求」という手続きを遺族が行うことになります。
登録済み加入者情報の開示請求の費用について … 遺族が請求する場合は6,050円の費用がかかります。また、氏名+住所の組合せが複数あるときには、その組合せごとに1,100円の追加で結果を開示してくれます (引越し前の住所を使っている可能性や、旧姓の情報が残っているケースを想定しています)。
「ほふり」が対象者の証券会社名と加入者口座コードを開示してくれるので、その後、判明した証券会社宛に保有残高を問い合わせることになります。
なお、「ほふり」では国内の上場株式についてのみ加入者口座を管理している点に注意が必要です。
株以外の有価証券について
ここまでは株を保有しているケースをご説明していましたが、株以外の運用資産として、投資信託、債券、外国為替取引 (FX) などがあります。これらの保有残高は調査可能でしょうか。
株と同じ証券会社での取引
各証券会社では、口座を開設するときに国内株式の取引を行うことができるように設定されるため、証券会社と取引を始めた時点で「ほふり」に加入者情報が登録されることになります。
故人がたとえば投資信託だけを保有していたとしても、一般的な証券会社に口座があれば、調査対象から漏れることはないと思います。
専用の運用会社での取引
ここ数年で、総合的な金融商品を取り扱う一般的な証券会社以外に、専門特化した運用会社が台頭しています。例えば次のような会社があります。
- FX会社 … 外国為替取引に特化した運用会社。証拠金取引においては、元本を上回る損失を出すリスクもあり、要注意です。
- ロボアドバイザー … 運用会社が自動的に投資先の株や投資信託を選定して運用してくれるサービスです。定期的に銀行口座からの引落がある場合は特定が容易です。
- 暗号資産 (仮想通貨) … ビットコインが代表的です。残念ながら口座の特定は困難だと思われます。
この記事では、証券会社以外の運用会社については深掘りしませんが、今後、個別に解説記事を用意するつもりです。
代表的な証券会社
証券会社を探すときの参考に、主な証券会社を一覧化しておきます。
大手証券
伝統や安心感を重視される方なら、従来型の大手証券会社を選びそうです。また、大手銀行を重用される方は、その系列の証券会社で口座を開くかもしれません。
ネット証券
まとめ
故人が開設していた証券会社の口座を見つけるには、まずは手がかりを探したり、行動パターンを読んで当たりをつけること。そして、有効な手段として「ほふり」への照会が可能だということを知っておきましょう。