遺族のため、自分のためにも、デジタル遺産を一覧化しよう

相談者様

ネットを使ってると、アカウントとパスワードがどんどん増えて収拾がつかなくなってきてて、このまま急に自分が死んだら家族が困るだろうな…。

回答者

ご家族に確実に財産を遺すために、また、自身の財産を整理するためにも、デジタル遺産の一覧化をお勧めします。

デジタル遺産の一覧化

Excelなどの表計算ソフトを使って一覧化に着手しましょう。下の表を参考にしてみてください。

#	会社名	資産種別	口座番号	URL	ログインID	パスワード	メールアドレス	残高概算	相続人指定	更新日
1	Aネット銀行	預貯金	A支店/1234567	https://A-bank.co.jp	account_A	********	private@mail.com	300万円	妻	2022/06/27
2	B証券会社	株、投資信託	B支店/0123456	https://B-securities.co.jp	account_B	********	private@mail.com	200万円	長女	2022/06/27
3	C仮想通貨取引所	暗号資産	BF10-1111-2222-00	https://C-coin.com	private@mail.com	********	private@mail.com	10万円	長男	2022/06/27
4	D-Pay	電子マネー				********	private@mail.com	1,500円	妻または破棄	2022/06/27
5	E通販	定期購入		https://E-echop.co.jp	account_E	********	private@mail.com	▲5,000円/月	解約	2022/06/27

一覧の作成にはいくつかポイントがありますので紹介しておきます。

最初から完璧を目指さず、金銭的価値の高いものから優先的にリストアップする。また、項目も分かるところから順次記入すれば良い。時間をかけて完成を目指しましょう。
記入する都度、財産ごとに情報の更新日を記入しましょう。
口座番号、URL、ログインIDは、口座 (アカウント) が特定できるような情報を記入できればOK。
ご自身の備忘録として使うのであればパスワードを記入しておくのが良いですね。ただし一覧ファイル自体をパスワード保護するなど、取り扱いには充分注意すること。一覧ファイルのパスワードを伝える方法は別途考察しましょう。
残高概算を記録しておくと、重要度が分かるので便利。
財産ごとの相続人を指定しておくと、もしもの時に遺族が揉めずに済むかもしれません (ただし、遺言書としての効力はこれだけでは発生しません)。
一覧化する過程で、使用頻度が低いサービスなどに気がつくかもしれません。この際、不要なサービスは解約することも必要かもしれません。残高が少ないネット証券や、使わなくなった電子マネーなどあれば、思い切って解約しましょう。

遺族に遺す財産には、デジタル遺産の他にリアルな遺産もありますよね。例えば不動産、預貯金などといった従来からある相続財産です。

今回の記事では、目に見えない財産であるデジタル遺産を一覧化することを優先しましたが、この一覧を発展させて、ご自身の全ての財産を一覧化し、さらに遺言書も作成しておくとベストです。

リアル遺産の一覧化: 不動産、預貯金、車、保険など、従来型の資産についても、一覧に追記し、ご自身の全ての財産を明らかにします。ローンなどの負債もお忘れなく。

遺言書の作成: 財産とそれを渡したい相手が一覧にできたら、その希望を叶えるために遺言書の作成をお勧めします。
自筆証書遺言にはPC等で作成した財産目録を添付することができるので、ここまで作成した一覧を元に目録を作成しましょう。

ぜひご自身の終活として取り組んでみてください。